10.20ラター「グローリア」合唱団の皆さんへ

2024年10月26日

■指揮者 右近大次郎先生からのメッセージ

10/20 in ミューザ川崎の演奏会にご参加いただいた皆様へ

皆様、コンサートお疲れ様でした。

ラター「グローリア」フルオケ伴奏版にご参加いただき誠にありがとうございました。素晴らしい歌声でした。

私は言いたかったのです、今社会に、人類に必要なのは、理想を臆面もなく語ること、そして人類には「希望」がまだあるということを。別の言い方をします、今回の演奏会は、ラターの「グローリア」を聴いて・感じてもらうためのものでした。なぜなら、この曲が、人類にはまだ「希望」があることを力強く示しているからです。ラターは、ウクライナの戦争が始まった時、すぐに小曲を作曲し、無料で配布しました。そしてこう言ったのです、「この楽譜(数ページ)を買うくらいのお金をウクライナのために寄付してください」と。彼の姿勢は明確です。音楽のメッセージ性を信じ、そして愛する人間の可能性を信じています。

ミサイルや弾丸、麻薬など、破壊をもたらすものは、一瞬一発で身体を崩壊します。しかし音楽そして芸術はほんの少しづつしか心に浸透していきません。そのため、音楽の効果、ましてや我々の演奏がどう作用するのかなんて目に見えることは殆どないでしょう。しかし、ひとつひとつの演奏会が、色々な人々の心の中に、少しづつ、少しづつ、塵のように積もっていきます。その積み重ねが、今まで人類を動かしてきたのです。武器や暴力の瞬間的な破壊力に対抗するのは、そうした「創造」行為の気の遠くなるような積み重ねなんです。

ここで私の座右の銘を。

「戦争の反対は、平和ではない、創造である」---ジョナサン・ラーセン

皆さんの演奏は、人類が進むための礎のひとつとなったのです。

ありがとうございました。

右近