合奏集団『新しい音楽生活』オーケストラ演奏会2024

〈プログラム〉より

 本プロジェクトは「新しい音楽生活」の皆さんとの戦争プログラムの第二弾になります。昨年の第一弾では戦後のフランスからの曲を演奏しましたが、今回は戦中に英米で作曲された曲というコンセプトで始めました。最初に演奏する3曲を決めた直後の10月7日にガザでの戦闘が始まり、プログラムの持つ意味が大きく変わってしまいました。ブリテンの曲は死者とこれから死んでいくであろう人たちの安息を願い、コープランドの曲はアメリカの資本主義へ疑問を投げかけ、バーンスタインの「エレミア」は、ユダヤ人だけでなく全世界に向けて呼びかけます、話を聞き考え行動することができなければ、待っているのは破滅だと。ドイツの作曲家ハンス・ヴェルナー・ヘンツェは「芸術は非人間化に対抗することができる、人々に残されている最後の数少ない手段です」と言いましたが、今まさに演奏する意義がある曲が並んでしまったことに対して驚きを禁じえませんでした。

 しかし人はこのような弱さだけの生物ではありません。人類は力強く発展もしてきました。負の側面だけでなく、人間に何が出来るか、その素晴らしい側面を思い出すこともまた、今とても重要なのではないかと思います。最後に演奏するラターの「グローリア」は、そうした「呼びかけ」の力に溢れています。平和を取り戻し、それを維持するためのエネルギーを受け取っていただければ幸いです。

右近大次郎

合唱団の皆様、ミューザ川崎での本番、そしてこれまでの合唱練習、お疲れ様でした。

GPで郡司先生からラター「グローリア」を演奏するひとりひとりの自覚を問われた言葉が胸に刺さります。今、この大きな意義のあるコンサートに合唱で参加・演奏できたことを心から感謝します。プログラム全てを通して、オーケストラの音楽と作曲家のメッセージに感情を揺さぶられ続け、増田弥生さんの「エレミアの哀歌」に心底胸をうたれ、音楽の持つ偉大な力を見せつけられた、そのようなコンサートでした。

また日常に戻りますが心の奥に昨日の大切な宝物を持ち歩んでいこうと思います。

※ラター「グローリア」の練習は12月24日公演に向けてクリスマスオラトリオ練習の中で継続します。スケジュールを確認して下さい。