先行練習

2023年07月03日

日曜日午前、小平でモツレク先行練習がはじまり、練習会場一杯の人が集まりました。

ミレーの絵画「晩鐘」の農民夫婦の祈りは、モーツァルトの「レクイエム」をも彷彿させる。そこに中世以降の教会の権威や格式はなく、ひたすら土に向かって死者たちの安息を祈る姿である。モーツァルトとミレーの時間差は100年に及ぶのだが、神童と呼ばれたモーツァルトは世界中を演奏家・作曲家として歩き、あらゆる階層の人々の生々しい生活と、その格差の有り様に驚嘆したことであろう。時の権力とも結託し人々を搾取する手段にも使われてしまった宗教が、モーツァルトにとっては許せるはずがなく、人々の心の中にのみ存在する神への祈りをひたすら描いたのではなかろうか?その最後となったラクリモーサの数小節は、真実の神の姿を自分の心の中にのみ求め、そして涙する自分を描いたに違いない。

この作品に接するたびに、私は背筋の緊張を覚える。

モーツァルトが没したその日のコンサートである。

郡司

お申込みはこちら