サロンコンサート(郡司)

2020年08月13日

真夏のカンマーザールサロンコンサート[郡司博のなかまたち]13回のうち半分が終わりました 。コロナによってこの半年にわたって演奏の機会を失われてしまった奏者たちが、その思いをこめてステージに立った。防御シートに囲まれたまるで現代オブジェの中で、わずか20人に限らなければならなかった聴衆を前に大ホールのステージで歌うが如く彼らは舞った。

若者は冒険をおそれず、中堅は堅実な技術にうらづけされた高水準の演奏を、そしてベテランは人生の全てをそこに賭けた。

朱色のドレスを身にまとった郡愛子が歌ったのは、アンコールで歌ったアメイジング・グレイス以外の自作のもの含め全て日本語の歌だった。日本オペラ振興会の音楽監督としてここ4年間、心血を注ぎ込み幾多の公演を成功させてきた郡愛子。この1月には「紅天女」をオーチャードホールで5ステージというクラシック音楽界の常識を破る金字塔を主導したのは彼女だった。その彼女がいっときの激務を忘れて歌ったその歌を、一人息子の家族とそこに加わった孫と夫、そして 長年共に戦ったマネージャーも20人の聴衆と共に聴いた。

1フレーズ1フレーズが彼女の半生のひとこまのようだった。

聞き手もそれを心で自然にうけとめ、郡とともに歌い生きた。

ピアニストの松本康子は全身で優しく支えた。

これもコロナが我々に与えた一時の至福だと言ったら不謹慎なのだろうか。

郡司