5/11(日)第9練習 第2回
ベートーヴェンの系譜第9 第2回
5月11日(日)カンマーザール
指導 郡司先生 ピアノ 小林先生
出席 38名
《練習ノート》
〇ピアノでの演奏はオーケストラと何が違うか?
2台8手 ピアニスト4人
・オーケストラで演奏するよりも構成が明確になり余計なものが無くベートーヴェンの音楽がより凝縮される。
・オーケストラと違い演奏者が4人しかいないので密度が濃くなる。
・今回の取り組みを聴き歌いそして再びオーケストラ版でやることにより、聞き方感じ方が相当変わってくると思う。
・何気なしに歌ってきたことをもう一度きちんとやり直す。
・ピアニスト4名は優秀で掛け値なしに楽しみにしていただける。
〇ベートーヴェンが生きた時代は大変革(19歳の時にフランス大革命を経験)があった。その激しい時代の中でベートーヴェンがどのような哲学をもって大変革の時代を生き抜いたか、時代背景抜きには考えられない作品。特に哲学的に言えば啓蒙主義の最前線。それまでの教会と支配者が経済的、政治的、文化的にも人々の心も牛耳っていた歴史の中で、初めて《人間は平等ではないか》、《人々は愛し合わなければならないのではいか》、《宗教対立(30年戦争)によって何が本当に神の教えなのか?》などの人々の思索から、その結果生まれてきた啓蒙思想。
4人のピアニストがベートーヴェンそこに込めた「音」そのものを掘り下げていく。
全ての人に普遍的に伝わっていく作品として人々を勇気づけ、喜びや希望を与えた。その作品を具体的にオーケストラではなくピアノと合唱で「音」そのものを届ける。
〇合唱部分は今までオーケストラの響きに助けられていた部分(誰が歌っても上手に聞こえる)があったが、ピアノ版ではもっと明確にひとりひとりがクオリティを高め、其々のパート同志でアンサンブルすることが求められる。
〇練習は小節数で進めるので記入のない楽譜の人は準備をしておく。4楽章の最初を小節数1とする。
〇合唱練習
257~:今回はいかに旋律化してレガートで歌うか。
テノールの旋律:音が高い箇所はベートーヴェンがそこの大事な言葉を聞かせたかった。女声の歌い方と同じくする。
260:geteiltのあとテノールはノンブレス(alle menschenの入りに遅れないため)テノールの役割はオクターブをレガートに歌うこと。
285の前4小節:ピアノは合唱と同等に聞こえてこないといけないので、オーケストラが何をしているのかよく聞く。
285~:Ja:声楽的に整った響きのある声で、しかしエネルギーは無くならないように。全員が同じタイミングでJaを言う。4つのパートのカルテットのように聞こえるように。どこかのパートが先頭を切らないように。全パートがレガートに旋律を歌うこと。
313~:歌詞の意味「愛は全てのものに与えられている」を超えない歌い方。意味を伝える歌い方。オーケストラと歌う時とは違う歌い方。
321~:ルネッサンス期のスタイル「ハーモニー」を意識して歌う。母音の長さを歌う。エネルギーは無くさない。それぞれのパートが声楽的でありたい。
・Cherub:発音が平べったくならないように。
・Steht:[ʃ]:ピアノ2台で歌う時には強すぎないように注意。
今までオーケストラと歌ってきた第9の歌い方をいかに声楽作品にしていくかを考える。
311~:ベートーヴェン時代までの特徴:4小節ごとの繰り返し。
411~:男声合唱:413eure、414Bahn、417,421zum、8分音符の長さを厳密に揃える。オーケストラの時のように子音を前に出し過ぎない、それよりも縦線を揃える。8分音符の言い直しを整えないと今回のピアノ版では不揃いが全て聞こえてしまう。
543~:合唱はレガートで歌う、オーケストラ部分とぴったりはまる事。2拍目に言葉のアクセントはない。
・音名でレガートに歌う練習:546:2拍目は数学的に正しく3対1のリズムで。1拍を3つに刻みながら音名で歌う練習。
529~:ここから4小節ずつ数えると、合唱歌い始めの手前だけ2小節でシンコペーションになっている、543の歌い始めに力が欲しいことがわかる。
・オーケストラでは音をつないでくれるが今回は合唱が音を減衰させず自分たちでつないでいかなければならない。
546:8分音符は次の音に行く為のハーモニー的にとても大事な音。8分音符の次の音にいくことを強く要求している。ソプラノもenがなくならないように。
543~:乱暴な音楽にならない。ルネサンスを終えて人間としての精神の自信が表れている。
603~:ハーモニーの音楽。言葉の語尾や一つの言葉の中で弱くなる箇所を確認し直す。
610:Weltオーケストラと歌っていた時の勢いでいってしまう悪い癖がでてしまう、注意。「世界よ」という言葉の意味を考えた歌い方をする。
・「言葉」に対する感性を持つ。言葉を音楽として感じる意識が欲しい。
619Brüder:大ホールで歌う時のように子音を強調しすぎると今回はきたなく聞こえてしまう。「死の試練を経た友よ」に対してのBrüder。意味を考えた声、ハーモニー。拍頭は4声のタイミングを揃える。
623ein lieber:冠詞と名詞なので切らずにつなげる。
631~:旋律と同時にハーモニー、オーケストラと歌っていた時の10倍神経を使って音程を正確に出す。
635Ahnest du:stを落とさない。
~休憩~
654~:合唱は主旋律と対旋律(バロック時代のスタイル)。ダブルフーガとしての形式美を出したい。自分のパートだけ歌うのではなく、ピアノと共にどう立体的に響かせるか。それには音楽の感じ方が大切。
Seit umschlungenのテーマ:一拍の中は6連符であることを意識する。
Freude, schöner Götterfunkenのテーマ:3対1のリズムを正確に。
無我夢中になると弱点がでてしまうので注意。
742~:指揮を見ないと6拍目は入れない、タイミングを揃える。
745~:ここからはルネッサンス期の音楽。ハーモニーがあってオーケストラがオブリガードを弾く。合唱はハーモニーとしての自分の役割を理解し歌う。
751:ソプラノ力を抜く、753のAへの導音。
745ソプラノzelt:付点2分音符:はっきり母音が聞こえるよう短くし過ぎない。zeltブレスBrüder。
795~:啓蒙思想1800年代に到達した哲学。人類そのものは全て兄弟である。
795~800までノンブレス
802ソプラノ:上行音型に時間がかかりすぎている注意。
806:Alle半拍休符で良い声をだすのは難しい。
810~:molto legato 言葉の意味を考え深い音で。
811 Brüder,ブレスwo。 Brüのタイミングを4声揃える。
〇4楽章の始めに戻って
9~:レチタティーボ、15~:それを否定するような音楽、30~:第1楽章のテーマ死んだ後はどうなるのか、死ぬ直前の不安、48~:第2楽章のテーマ、63~:第3楽章のテーマ
92~:遠くから聞こえてくるテーマ
237~:恐怖や不安、無意味な戦いや、単に自然を賛美するだけではなく、もっと歓びに満ちたものを作ろうではないか。1、2、3楽章に足りないのは「歓喜」、人間同士が連帯した時に生まれてくる歓びFreude。
257~:音楽的なレガートさ。エネルギーは無くならないように。
285~:ひとりひとりが良い声で。
313~:戦っている感じにならない。
595~:日本語にはない二重母音の言葉の入れ方。
Seit umschlungen:命令形で書いてあるが、内容は命令ではない。意味を考えた声で。594のオーケストラは強さ、595の合唱は優しさ、ここは立体的に作られている。611優しさを前提としたBrüder。
737テノール短くしない。
843~:4小節ずつの区切り、合理的にできている。(これはブラームスの時代まで続く)
〇851~:ベートーヴェンが言いたかったこと、「ただSeit umschlungenと歌っているだけではだめ」と書いているように聞こえる。今ウクライナでもガザでも人々が死んでいる、ベートーヴェンからの「行動」へのメッセージのように聞こえる。