コロナ禍の合唱活動について

2020年12月05日

このコロナ禍において、三密を回避し不要不急の外出は避けるという指摘で最も影響を受けたひとつに、合唱があげられます。

特にアマチュアの合唱団は、経済的波及効果も極小で存在基盤が曖昧もしくは弱く、参加者の合唱に対する意欲だけで成り立っています。生活がかかっている専門のプロ合唱団とは異なります。だから国や地方自治体の自粛要請等にすぐ従いやすいのだと思います。結局、自治体や公共的なところで主催している合唱団は練習もコンサートもいち早く中止してしまうし、地域の合唱連盟や全国組織の合唱連盟が主催するコンクールや合唱祭も早々に中止を決めてしまいました。

コロナ初期において、感染予防を全くしなかったライブハウスや合唱練習後の会食でクラスターが発生したことをその理由としていますが、それでも何とか続けている合唱団も肩身の狭い思いをしています。練習会場ごとに、それぞれ異なる対応をしていますが、定員の半数までしか使用できない会場がおおく、活動を続けるにはコロナ以前の2倍の広さの会場を確保しなければならず、更に合唱活動を困難にしています。

その点私たちの場合、練習会場を継続的に確保しやすい状況にあり、三密を回避するため個人をビニールで三方から囲んだシールドの中で歌う器具を考え、練習会場に常設するだけでなく、ステージにも持ち込むことができました。その結果、合唱団員の感染に対する恐怖が薄まり、出席人数も少しずつコロナ以前に戻ってきつつあります。

ここまでコロナ禍が続く等予想だにしていませんでしたが、合唱団全員分のシンガー・シールドを作り、それを毎回の練習会場にも移動しながら利用しています。その制作と運搬、コンサートでの設営、消毒薬などの購入は、皆様から頂いた寄付金230万円を使わせていただきました。これがなければ感染防止を徹底しながらの練習を再開することができませんでした。また参加者一人一人が感染予防に真剣に取り組み、シンガーシールドの設置や片づけを自ら行うことで、演奏そのものにも積極的になったことは10月の新宿文化センターの公演でも証明されたと思っています!まだまだ苦難は続きますが合唱団員一人一人が自分にとって歌うことの社会的意味を見つける良い機会になったと思っています。

一方、指導者にも感染防止の新たな役割と責任が加わり、今後大きな課題になるでしょう。今までどおりでは感染は止められませんし、合唱活動の縮小も止められません。何も生まれません。いつまで続くかわからない状況下で、新たなチャレンジが期待されているのではないでしょうか。

戦後脈々と続けられた合唱運動は、クラシック音楽の一つの底辺として多大な影響力と役割を担ってきたと思っています。その合唱運動が最大の危機に陥っているといってもいいでしょう。多くの合唱団が余儀なく練習を休会し、演奏会の企画もままならない状態が続いています。コロナ後を考えると、新たなスタイルの合唱活動の構築が急務と考えていますが、まだ先行き不透明です。皆様のご支援に感謝すると同時に、私たち一人一人のこれからの責任も真摯に果たしていきたいと考えております。

認定 NPO法人おんがくの共同作業場 理事 合唱指揮 郡司博 

NPO音場ニュース第144号 2020/12/5発行 より