「女の愛と生涯」訳詞

2023年05月17日

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シューマン『女の愛と生涯』(訳詞:大矢晴代/古市尚子)

■1 初めてみた日 [Larghetto]

初めて見た

あの日から

どんな時も離れない

あなたの姿が

この目に焼きつき

深い闇の中から

ほほえむの


妹たち追いかけた

無邪気な日々

過ぎ去った

ただあなただけを

思って泣きたい

ほかに何も見えない

あなたしか


■2  あこがれ  [Inning, lebhaft]心をこめて、生き生きと

素晴らしい人よ

気高く 美しく

明るいまなざし

賢く勇ましく


深く蒼い空

輝く星よ

あの人は高く

まばゆく光る


星の行くままを

ただ見つめたい

ささやかな幸せ

淋しさを胸に


あなたの幸せ

ひそかに祈ります

気付かなくていい

あなたは遠い星よ

そう きらめく星よ


あなたの心を

とらえる女性(ひと)を

わたしは心から

祝福しましょう


たとえ この胸が

張り裂けようとも

ふたりの幸せ祈り

ほほえむわ


素晴らしい人よ

気高く 美しく

明るいまなざし

あなたは遠い星よ

そう きらめく星よ


■3 プロポーズ  [Mit Leidenschaft.]情熱をもって

本当のことだろうか?

夢に決まってる

あなたが私を

選ぶなんてこと

こう聞こえたのよ

「僕はきみのもの」

でもこれは夢よ

ありえないこと

ありえないこと


夢ならこのまま

あなたの胸で

死んでしまいたい

喜びのうちに


本当のことだろうか?

夢に決まってる

あなたが私を

選ぶなんてこと

信じられないの

夢のようなの


■4 誓い  [Inning.]心をこめて

この指に光る 金色の指輪

心こめて押し当てる

わが唇に わが胸に


子供でいられた夢みる時を過ぎ

私は孤独で 途方にくれていた

でも教えてくれた

いま この指輪が

生きることの意味を

深く限りない価値を

彼のため生きよう すべて捧げ

あふれる光に

私もまた

照らし出されるように


この指に光る 金色の指輪

心こめて押し当てる

わが唇に わが胸に


■5 婚礼の日  [Ziemlich schnell.]すこし速めに

手を貸して 妹たち

今日の私は特別

花を編み 飾ってね

私のこの額(ひたい)を

あの人の腕の中

ときめいて聞いたのよ

婚礼を待ちわびて

語る彼の言葉


手を貸して 妹たち

胸の不安を鎮めて

澄んだ目であの人を

迎えられますように

おひさまの輝きを

くれるいとしい人

つつましく身をかがめ

迎えるわが主(あるじ)を


さあバラを 妹たち

ふりかけてよ花婿に

家を離れるさみしさも

喜びにかえて

喜びにかえて


■6 いのち  [Langsam, mit inningem Ausdruck.]ゆっくりと、親密な表現で

そうね

驚いてるでしょう

どうして私が泣くのか

この涙のきらめきを

どうかそのまま見つめてね

胸の不安と喜び

どんな言葉で言えるか

でも打ち明けましょう いま

この胸にあなたを抱いて


涙のわけ わかるでしょう?

動かないで 愛するあなた

聞こえるでしょう

この鼓動

強く 強く抱きしめる

あなたを!


ここに置きましょう

ゆりかご

甘い夢がかなう朝

あなたと同じ目をして

新たな命が笑う

命が


■7 至福のとき  [Fröhlich, inning.]朗らかに、親密さをこめて

この胸に眠る

喜び 楽しみ!

幸せは愛すること

それだけが真実

夢みた幸せ

信じられないほど

抱きしめ はぐくむ

愛しい乳呑み児


母となった者の

至福のひととき

かわいそうな旦那様

知らない喜び


可愛い天使

私をみて笑った!

この胸にいだかれて

眠れ わが愛し子


■8 永遠(とわ)に  [Adagio]

ああ

私を置いてゆく

あなたは

もの言わぬ死の眠り

むごいわ!


ひとり残されていま

うつろな胸

愛に生きた日々

断ち切られて


心閉ざし

想い出にこもる

そこはふたりの世界

永遠(とわ)に