週末のオペラとコンサートに思う

2021年02月22日

昨日 21日は日本オペラ振興会のオペラ故中村透の「キジムナー時を翔ける」を観てきました。指揮者は星出豊、 総監督は郡愛子、演出は粟国淳。自然への畏敬の念を失おうとしている現代にあって、自然の神への尊厳と謙虚さを取り戻そうとする"祈り"が全編にながれ、出演者の多くがまだ若い世代でありながら声楽技法・演技共に見事でした。指揮者の星出豊は80歳になろうとする日本オペラ最高の巨匠なのだが、十二分に その役割を果たし継承すべき多くのものを残したと言っていい。演出の粟国は多分に故天才演出家の父の才能を受け継ぎ、苦闘の末それを乗り越えている。重いテーマをものともせず、楽しく感動的舞台であった。お客様の層も若い人が多く、画期的な成功と言っていいだろう。郡さんの音楽監督就任の成果が浸透してきたのか。

その前日、東久留米の小さなホールで、いつも合唱で応援してくれている芸大の卒業したばかりの若い声楽家によるガラコンサートと、オペラ「愛の妙薬」の演奏会形式のコンサートを聴いた。舞台の奥にピアノが設置され、そこで二時間半ピアノを弾き続けてたのが今年11月の東京オペラシティでモーツァルト「レクイエム」を指揮することになっている中西亮君だった。

ロッチュコーアでピアノを弾いてもらったり、ジェンキンス「スターバトマーテル」の指導もお願いしている中西君は、私の知っている限り最高のコルペティとしての役割を果たした。まさにオーケストラがそこにいるかのように多彩な音色を表現し、歌い手を優しくサポートした。自発的に取り組みここまで客席を満足させた彼らの試みに拍手は途切れなかった。このコンサートも客席を半分にしていたが、多くの若者が座席を埋めていた。私の胸を打ったのはこの厳しい今でも、何かが若者たちに引き継がれている、そして何かが始まっているという感慨だった。郡司