5.年末NHK番組『第9ナインストーリーズ』との縁 


 僕がNHKの取材を受けたのは、ナインストーリーズの一つ、集団就職で上京した、川崎の労働者との第九でした。募集をかけて集まってきたのは、合唱経験のない200人の男性でした。女性は50人程度。あまりにも多種多様な声にドラゴエ合唱団と命名する案もありましたが、指揮者の外山雄三氏の助言により逆から読んで「エゴラド合唱団」と素敵な名前になりました。

 1960年代頃から始まった第九合唱が、高度経済成長の金の卵となった彼らに引き継がれていったのでした。

 番組中、第二次世界大戦で学徒出陣の際の壮行演奏会で女学生たちが第九を歌って送ったという「ストーリー」が紹介されています。その元女学生の一人が、現在武蔵小金井の介護付きマンションに住んでいることを、同じマンションに住む合唱団員が僕に伝えてくれました。その方は、戦後国立音楽大学の声楽教授を勤めた方でもありました。今年末のキエフ国立管弦楽団との「第九」にはご招待するつもりです。「第九」を介して、人と人とのつながりを感じさせてくれる出来事でした。

​つづきは .「第九」、「四季」との共通点